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「照明演出用調光装置の共通データ規格」(JATET-L-1150)を発行

技術委員会照明部会 部会長 萩原春男

当協会の照明演出用調光装置のデータ規格としてはJATET-L-6090規格「COMOSフロピディスク 調光データフォーマット規格」(平成8年3月制定、以下COMOS規格と略称)が使用されてきたが、同規格についてはハードウエアに依存した形式のためにコンピュータの進歩についていけない、調光レベルデータしか記憶できない等の問題が提起された。これに対処するため照明部会ではユーザー委員、メーカー委員から成る規格作成委員会(伊藤敦主査)を発足させ、約2年に亘る真摯な調査研究及び討議の結果、昨年11月にJATET-L-1150規格として新規格を発行した。

以下に新規格の概要についてご紹介する。

 

    新共通データ規格の特徴

 新共通データ規格の一番目の特徴は、一般的なテキスト形式で記述されることである。これは、ハードウェアに依存した形式のために最新のコンピュータで取り扱うことができなくなったCOMOS規格の反省を踏まえて選択した記述方式である。一般的なテキスト形式のファイルとして記述されるため、ハードウェアに依存せず取り扱うことができる。記憶する媒体も特に制約はないし、電子メールで送ることもできる。これは、パーソナルコンピュータを中心とした、ハードウェアの今後の進歩に追随できることを意味している。

 もう一つの特徴は、記憶できるデータの範囲を広げたことである。COMOS規格では調光レベルデータしか取扱うことができなかったが、新規格では、Cueの時間データとパートデータを取扱うことができるようにした。また、今回は時期尚早として除外したが、記憶するデータの概念が統一できれば、Cue以外のデータについても規格の範囲を広げることができるよう拡張性を持たせている。

    COMOS規格はどうなる

多くの方々の関心事は、しからばCOMOS規格はどうなるのか、互換性はあるのか、ということではないだろうか。今回の委員会でほとんどの時間を費やした課題がこの問題とオフラインソフトの問題であった。先に述べた通り、将来のハードウェアの進歩を考慮すると、COMOS規格との互換性は断念せざるを得ないというのが委員会の結論である。

ただし、これだけ普及したCOMOS規格対応の機器を無視したまま新規格に移行することはできないだろうというのも、圧倒的な意見であった。共通データ規格は、その規格に対応した機器が普及して初めて効力が発揮される。この規格に対応した機器が普及するまで数年はかかると予想されることから、それまで照明機器メーカーはCOMOS規格と新規格の共存を図ることを考えざるを得ないという事が結論となった。

    規格普及のための新しい動き

JATETは、COMOS規格の発行と同時にCOMOSオフラインソフトを発売したが、このオフラインソフトはハードウエアの急激な進歩についていけず、今回の問題提起の発端となったことは前述したとおりである。この反省を踏まえ、JATETは新規格の制定、発行に徹し、オフラインソフトの発売は行なうべきではないとの意見が委員会の大勢を占めた。一方、現場の照明技術者には既製のオフラインソフトを活用し自宅あるいは現場でデータの作成、修正を行ないたいとの強い要望があり、これに応えるためにも、更に新規格の普及を促進するためにも、ハードウエアの急激な進歩にも追随できる形でのオフラインソフトの作成、販売は必要不可欠であることが決議された。

 この相反する命題を解決すべく検討した結果、結論として、JATETの事業から切り離してメーカーとユーザーがボランティア的な動きで新規格対応のオフラインソフトを作成し、将来の更新も容易に行なえる販売形態を検討する作業を推進中であり、近々その成果を報告できる見込みである。

 

 今回の新規格発行にあたり、委員の方々はもちろんのこと、ご多忙の中、意見交換会に参加して頂いた方々に、この場を借りて厚く御礼を申し上げたい。

 

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