企画運営会議委員長就任挨拶
理事 伊藤安雄
平成23年より標記委員長を拝命しました。ご高配のほど宜しくお願い申し上げます。
今年は公社化2年目です。公社として何をなすべきか、それを具体的な行動で示し、
ご理解戴くべき大切な年だと思います。
しかし、劇場ホールの建設ブームが去った上の財政難時代、JATETの会勢拡大の気配は
全く見えませんし、JATET会員の活動も厳冬下の様に、その動きは鈍いままです。春がき
ても動き出す様子は一向に見えません。スポーツなら喝!の一声でエンジンが掛かるでし
ょうが、JATETの場合は絡み合う糸の様に、解く術の見えぬ因果の数々に、誰もが匙を投
げたままの実状にあります。
JATETの仕事となりますと、どなたも受身気分で、他人頼みの悪慣習に陥入り、キジも
鳴かづば撃たれまいの諺どおりではないでしょうか。
JATETは我が国に唯一つ、劇場演出空間技術のエキスパートが集う公益社団法人です。
私達がこけたら、我が国2千余の劇場ホールに流れる技術の血は凍りつく事になります。
最早、芸術の魂を招き入れる事は出来ないばかりか、予算食いの事故続きのハコモノとし
て醜い姿を並べる事になりましょう。
私達こそ、そうはさせない知恵者の社団として公益性を求められているのです、これが
JATETの正常な姿であると確信します。会員の持つ専門能力を十二分に発揮して、我が国
の劇場を守り、我が国の劇場を築く、これぞ国民の期待に応える、JATETのレーゾンデー
トルと言えましょう。
迷いはありません。企画運営会議は果たすべき4つの使命に向かって進みます。
その第一は、会員個々が持つ実力を思う存分発揮出来る場を作り、これを組織的に有効
活用した事業を行い、その実績を広く理解して頂き、公社の位置づけをした上で、後進を
育成し事業の継続を図る。そのための諸戦略を策定し理事会の決定を仰ぐ事にあります。
第二の使命は、理事会の決議の下に活動する組織並びに事務局に発生する喫緊の諸問題
に対する解決策を定め、その成果を理事会に報告することです。
第三の使命は、定期的に実行するもので、JATET内各組織からの提案と報告を総合的に
まとめた事業と予算の計画書、決算と事業報告書を承認し、理事会並びに総会に提出する
事であります。
最後の4番目の使命は、監督官庁に対する諸報告、関係団体に関する諸事項処理の審議
承認であります。
以上の使命達成にあたり、まず改めるべき事に気づくのであります。これまで事務局依
存度が極めて高く、小さな事務の仕事を増やし事務停滞を招いていました。これにクレー
ムをつけるなど赤面の至りでありました。身内にはクレーム解決を手伝うのが仕事の筈、
苦情を言う前に自ら参加して解決にあたりたいものです。
先ずは企画運営委員全員がその範たるべく活動する事にしました。これは本来の仕事も
同じです。あなたは何をしてくれますか、何が出来ますかを全委員に問い、企画運営会議
のなすべき事項について、別表に示す役割分担をなし、これに基づく戦略を構築し、全員
で熟議したうえブレない戦術を提案して参ります。
企画運営会議は、安全と安心の演出をターゲットに諸問題と取り組んで参ります。
例えば、劇場設備機器の安全診断方法の制定とその能力者育成と有資格者制度の実現等
があります。劇場法制定の動きとどのようにリンクするべきかと言う問題。続いて直前に
迫った少子高齢化が劇場技術者にも影響する問題であり、自動化問題や女子作業者参加の
機材としての適合性問題。更に、外部の技術革新を敏感に採りいれてきた劇場技術。TPP
問題から発する外国製品の参加等を予測するとき、自らの規格に守られガラパゴス化して
いないかという問題。更に更に、JATETのガバナンスの強さと言う究極の問題を抱えてい
ます。特に全国津々浦々にJATETのガバナンスが及ぶのは何時の日でありましょうか。等
々の難問が山積する中、出来る事から確実に実行しようではありませんか。
企画運営委員長として、1個人では何も出来ない事を痛感しています。企画運営委員外
の全会員にお願いします。JATETのためにあなたは何が出来ますか。どんな事をしてくれ
ますか! 僅かな実行でもその重なりに価値があります。その働きが組織的にまとまると
き、そこに自立するJATET、自律するJATETとして公益に資することが出来るのです。
一人でも多くの方々に奉仕して戴けることに、公益社団法人の健全な姿があると思いま
す。企画運営委員長は一人、任期は2年となっていますが、私は1年で交代したいと考え
ています。そうすれば2人の仕事として巾広い行動が出来るからです。そのために私は2
倍働く覚悟です。
私は過去は参考にしますが語りません。過去は変えることができないのについ都合のい
い話になるからです。それに較べて未来は好きです。未来は変えられるからです。また自
分より若い力による実行を応援するだけで済むからです。でもこの一年は私を応援して下
さい。
願わくは諸兄氏の率直な批判を戴きつつ進みたいものです。ご高配のほどを重ねてお願
いして就任挨拶とします。
以上